日本昔ばなし「龍の淵」

けっこう深いテーマ

「日本昔ばなし」が再放送されています。始めは懐かしく、子供たちにいいと捉えていましたが、むしろこちらが考えさせられる事が多いのです。

「龍の淵」という話があるのですが、これにはとくに考えさせられました。この内容について指導的な立場の人がどう説明されるか聞いてみたいくらいです。
内容は次のようなものです。
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漆を森で取るのを生業としている兄弟がいました。山で漆の木を探し、傷をつけて出てくる汁を採るのです。漆の木には限りがあり、取れる漆の量は少なくなっていました。

ある日、兄が来たことのない霧の谷間に出ると見たことのない淵が現れました。そこで、兄はナタを落としてしまいます。それを取りに淵に潜ると上漆(じょううるし)が大量に集まった溜まりを見つけました。

その日を境に兄は人が変わったように昼間から酒を飲み出し、ぶらぶら暮らし始めます。弟が上漆の在り処を聞きますが決して教えようとしません

ある日、弟はそっと兄の後をつけて淵の上漆の在り処をつきとめます。「自然が勝手に集めたもので誰が採ろうと文句はないはずだ」と弟も淵の上漆を採るようになり、やはり兄と同じく山に入ることを忘れてぶらぶら暮らすようになりました。

兄は弟に漆の在り処を知られたことが悔しくてなりませんでした。「あれは自分が見つけた漆だ。例え弟でもやりたくない。ただ、採るなとも言えない・・・」

考えに考えた兄は木から龍の像を、それは必死になって彫りました。それを漆のある淵に沈めて弟が近づけないようにしたのです。

その夜、弟が淵に漆を採りに潜ると、沈めてあった龍の像に驚き「兄さんに早く知らせないと・・・」と命からがら逃げ出します。

それをみていた兄は「これで独り占めできる」と笑いながら淵に潜ります。ところが、その木彫りの龍は何倍もの大きさの本物の龍になり兄に襲い掛かってきたのです。兄も命からがら逃げ出しました。淵に沈む漆はその後誰も採る事ができなかったということです。

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私はこの上漆を「原油」に置き換えて考えだしました。そうすると話に出てくる要素は何に相当してくるのでしょう

-この兄は「たまたま」見つけただけ。
-兄は苦楽を共にしてきた弟には在り処を教えなかった。
-弟は「誰が採ろうと文句はないはずだ」と自分も採るようになる。
-「あれは自分が見つけた漆だ。例え弟でもやりたくない。ただ、採るなとも言えない・・・」という兄の考え。
-弟を近づかせないための木彫りの龍とそれを作る労力。
-本物になった龍

本当に考えさせられる事が多く、テーマは本質的だと思われます。私の中にも答えがあるわけではありません(子供から質問が出ると困ります・・・)。ただ、弟が龍を見て「兄さんに早く知らせないと・・・」と言ったことは少なくとも子供たちと考えたいと思います。

「本物になった龍」は21世紀の現在においては何を意味するのでしょうか。この兄弟は「龍」にとって漆を採る資格がないとされたわけですね・・・

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