ハリアー・ハイブリッド

クール(過ぎ)・・・

ハリアー・ハイブリッドは北米におけるオンロードSUVブームの発端となったモデルです。昨今のガソリン価格高騰でその存在は輝きを増しています。個人的に次の車として期待してるスバルB9トライベッカはレクサスRX(日本名ハリアー)のfollowerとしてアメリカではまずまずの滑り出しのようですが、避けては通れない相手として試乗しました。B9の乗り心地の仕上げによっては、スバルの付入る隙が極僅かですがあるかもしれません・・・

立派な体格の割にガラの悪さは感じさせず、スマートなデザインは好感が持てます(TOYOTAの多くの車と違って存在感のあるグリルもいいと思います)。さすがに最新のレクサスGSやISにつながる要素はありませんが、次期ハリアーはあの要素をもったデザインとなって改めて国内でもレクサスを冠するのでしょうか・・・。

自分のシートポジションにしたあとに後席に座ってみると、モーターショーで座ったトライベッカより少し広い感じがしました(デザインと居住性の両立はさすが)。

「ボタンを押すと動きます」ではなくて「”動けます”」と言うべきでしょう。スタートボタンを押しても何も起きません。アクセルを踏んでも無音で滑り出します。これは、世界中でトヨタしかできない芸当です。ただ、パーキングの解除が足踏み式というのは危機管理上良くないのはカーグラフィック誌の指摘に共感します(もうTOYOTAはうけるものではなく、「こうあるべきだ」と正しいものを示すに十分値する優良企業だと思うのですが)。

「電車もそうですがモーターの最大トルクは回転ゼロの発進時なんです・・・」こういうセールスマンのガイダンスはトヨタ(私の近所では)は上手です・・・ちなみにスズキに試乗に行ったときは、奥の方に置いてあったその店の主役であるはずのスイフト・スポーツをなぜか偉そうに置いてあるアルトの中をパズルのように出してきて、「15分くらいで戻ってくれればいいですから」だけでした・・・(実はそういうの嫌いじゃないのですが)

富士山の麓の営業所から降りてくる際は20km/L、アイドリングstopと電動発進が効いてむしろ市街地が得意らしく、この巨漢が”10~11km/L”走るそうです。これだけでも説得力があります。

ハイブリッドの試乗は実は2回目でした。「そうエンジンがかかってもわかんないんだよね・・・あれ、分かる・・・」ハリアーは重さのためか発進後にエンジンが始動すると僅かですがブルンと振動が伝わります(プリウスの時は本当に気を付けていないと分からなかったのですが)。

セールスマンが同乗なのでさすがの私も始めの交差点でやる訳ないのですが(まあちょっと黄色で急ぎましたが)、派手に「キキー」っとなりました。雪道でハンドルを切ってもそのまま前に進んでいく感じです。発進時はトルクたっぷりでそれに静かなので勘違いしてしまうのですが、この車は重量級として運転しなければならないのは当然です(フォルクスワーゲン・トゥアレグでも突っ込むとやはり同傾向であり重量級SUVの宿命でしょう)。

パワーステアリングそのものは自然な仕上がりなのですが、前述のアンダーステア傾向に加えてM+Sタイヤの特性も加わり、ステアリング操作に対する反応の遅れがかなりあります。

上り坂での加速は今まで体験したことのない世界でした。エンジン音から想像されるのとは明らかに別の力が加わり、不気味に加速します。エンジン音のことに考えが及ぶにはその怒涛の加速に慣れる時間が必要でした。乗り心地は”ソフト”(フワフワとはしませんが)で、突起を超える際の振動・音も遮断されているので、”加速時のエンジン音が浮いた感じ”がします。例えスイングするようなホンダのV6の音がしたとしても浮いてしまうと思います。エンジンとは別の力がかなり働いて加速していく感じなので、この違和感を解消するには加速時のエンジン音の音量そのものを下げるしかないと思います。クラウンのV6(3L)のエンジンの方がよかったのでは・・・。

その日は実はマイナーチェンジ後のレガシイ・アウトバックにも乗りました。Cタイプと呼ばれるマイナーチェンジでレガシイシリーズの乗り心地がよくなったというインプレッションを散見します。レクサスやシビックの乗り心地が素晴らしいため最新のスバルはどうか知りたかったのです。

アウトバックは水平対向の低重心が効いて、普通の車高の車とほとんど変わらない身のこなしです(試乗の途中でロードクリアランスが200mmあることを忘れてしまう程です)。ハリアーはロードクリアランス185mmとむしろ少ないのですが・・・

アウトバックに乗って見えてきたのですが、ハリアーの快適性は運転操作に対する反応を犠牲にして、同乗者のためにかなり振り分けられているように感じます。それでは困るという人のために「”プレミアムSパッケージ”」が設定されていますが、カーグラフィック誌の記載ではかなり硬そうです・・・。レクサスの高レベルな乗り心地とハンドリングの両立を知ってしまった今、TOYOTAの乗り心地とハンドリングにもその風合いが導入されることを期待します。

しかし、レガシイの路面の不整を越えたときの処理(特に音)はスイフトにも抜かれてしまったかもしれません。カーグラフィック誌によるB9トライベッカの現地インプレッションでは「ハンドリングはアウトバックより優れているほど・・・」「スポーツセダンのようにコーナーをトレースできる」としています。懸念されている乗り心地がプジョー407といわないまでもスイフトくらいを達成してくれれば(それでもかなりのレベルです)、ハリアーに食い込む可能性が出てくるかもしれません。

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