条件:
BGレガシイからの乗り換え。
-もう一台ビッグ・ミニバンがあるため、自分だけが乗る車として考えられる。
-AT>MT
-2006年、2月頃。
-400万以内。
提案:
先日の清水でのスカイライン・クーペの試乗を終え、このプロジェクトにも区切りがつきました。
この相談者は私のサークルのときの先輩です。先輩は私のようにペラペラ語るタイプではないのですが、「だいじょうぶだよ」という一言が私の科の選択において大きなポイントになりました(といっても選択枝は一つしかなかったのですが・・・)。
今回の条件は、13年以上のBGレガシイ(MT)の乗車とその他諸々の努力?で勝ち取ったものであり、これがすぐに自分も主張できる権利ではないことは知っているつもりです(それにしても当時このレガシィGTは眩しかったですね)。TanaCar.netの開始から続けてきたこのプロジェクトでは、「先輩が検討しているもので・・・」という錦の御旗の元、高価格車に多く試乗させていただきました。
以下のモデルをピックアップしたいと思います。
-レクサスIS 250 Version L
-スカイライン・クーペ(AT)
(ホンダ・インスパイアー)
(ルノー・メガーヌRS)
(スバル・レガシイB4 3.0 R)
(マツダ・RX-8)
他稿でも書きましたが、スバルは水平対向+シンメトリカルAWDという高い資質を持っているので、そんなサラブレッドに長く乗ってこられた先輩には情報の多い自然なパワーステアリングを備えている必要があると考えます。
レクサスIS 250は試乗リポートでも紹介していますが、予算の都合からではなく、ノーマルサスペンション(Version L)をセレクトしたいと思います。ハードコーナリングを楽しむ機会がそれほど多くないなら、こちらの方が車の良さを楽しむ時間が多くなると思います。
ただ、奥様の写真での印象がよくないそうです。レクサスISは写真写りが悪いのかもしれません。私も同様でした。レクサスGSもそうですが、実車を、特に濃い色のものを見ると印象はかなり違います。それも、少なくとも2回以上見ることをお勧めします。2回目はさらに印象が加わります。ファーストインプレッションで強く訴求しないというのは販売には不利のように思われるかもしれませんが、日本的な奥ゆかしさを見るようで私は評価したいと思います。
スカイライン・クーペは近くに試乗車がなかったのですが、海に近い販賣店で試乗させてもらいました。「地元に試乗車がないもので・・・」と事情を話すと、「遠くからよくいらっしゃいました。」といやな顔せず歓迎してくれました(もう少しで閉店という時間にもかかわらず)。「日産レッドステージ清水」のスタッフの皆さんありがとうございました。
この日本車離れしたスタイリッシュなクーペはやはり海が似合うということでしょうか(そこが一番スカイラインらしくない?)。そういえばその先輩も湘南の出身ですが、例え合コンでそう言っても(うそー>>やっぱり)でしょう。残念!
実家がカーグラフィック誌で「”白眉”」とされた直6のRBエンジンを積んだローレルに二代に渡って乗っていたのですが、その印象からすると今のスカイラインは正直違和感を覚えます・・・
とにかく豪快な感じです。しかしハンドリングはシュアーです。試乗車はオプションの19インチタイヤを履いていたのですが、おあつらえ向きに国道は舗装がつぎはぎだらけで、ゴガッゴガッと突き上げが来ます。この車で19インチを選ぶというのは何をするつもりなのでしょう。
10年以上前、長野の南の方の中央高速で”BMWのM3”の助手席に乗せてもらった事があります。
走った事がある方は分かると思いますが、高森という所にとても高速とは思えないきついカーブがあります。そこを一代前のソアラをあおって、ここでは言えない速度で突っ込んだのです(ハンドルを握らず右座席に座るという不自然な状況で・・・)。
すると、ソアラはあのスピードで讓ってくれた、もとい、アウトに膨らんでいきましたが、M3はなんでもないようにジュワーッと走り抜けました。オーナー曰く911の方がさらに凄いらしいのですが、これは「いってしまいそう」で怖くてやめたそうです。現行911はこの怖さが少なくなってきたのでしょうか・・・歯に何か挟まった表現が散見されます。
19インチはこういうときには必要かもしれませんが、先輩がもしスカイライン・クーペを選ぶとしたら18インチのままにすべきでしょう。
「フェアレディZは?」という声が聞こえてきそうです。「先輩が検討しているので・・・」でZにも乗りました。これは”スポーツカー”です。流して走るときのことは考えれていません。そのように走るには自制のエネルギーを要し、憩いとは無縁です。「いいねー」じゃなくて「スゲー」なんですよね(運転するとアドレナリンが出てしまう)・・・車に乗るときは常にそれを求めるか、ということになってきます。
スカイライン・クーペは自制に要するエネルギーはだいぶ少なくてすみますが、流している時に「おお、これはいい」と感じるようなコンフォートはレクサスがかなり上手ではないでしょうか。それでいてISはハンドリングも充分楽しめます。プジョー407、シビックなどではハンドリングと乗り心地の高いレベルでの両立が実現されており、今後このような車が増えてくるのが楽しみです(下からはスイフトが突き上げているのでそうせざるを得ないでしょう)。
マニュアルミッションにすればいいのでは、というアドバイスもあるかもしれません。そうすれば、スカイライン・クーペはいいセレクトになるかもしれません。ただ、先輩は今回ATを考えており、このできのいいオートマティックを排除するのはもったいないと思うのです。
今回の条件でホンダを見ると、やはり「アキュラ」が必要だと分かります。敢えて言うと今回の条件ではインスパイアーになるのですが、アメリカ版(アキュラTL http://www.acura.com/)のリアはけっこういいんですよね。
(http://www.auto-g.jp/news/200310/06/newcar02/より)
あるいはこんな選択枝もあります。
(http://www.mugen-power.com/street/inspire/index.htmlより)
でもレクサス、インフィニティの対抗が「無限」というのは、レジェンド、インスパイアーでは苦しいでしょう。やはりACURA Powered by HONDAですね(アコード以降のホンダは乗ればいいので惜しいのです)。
ルノーにメガーヌRSというのがあります。
好調のF1スタッフが担当しているとの事です。「ルノー・スポール」これをホンダに当てはめれば、「ホンダ・スポーツ」ですよね。本来、HONDAは充分プレミアムなブランドなのですが、モビリオやステップワゴンで育った子供たちが大きくなって、HONDAをどう位置付けるのでしょうか・・・
メガーヌRSはベースモデルと違ってプジョー407のような凝ったサスペンションに変更されており、次元が違うそうです。これが他のルノーに拡がるかどうかに注目しなければなりません。
マニュアルミッションであればレガシイB4 3.0R spec B、マツダRX-8もどうでしょうか。デビュー時はNAVI誌のダイナミックセイフティ・テストでB4はRX-8を制していますが(まあB4が国産車離れしているのですが)、RX-8も「スポーツ・プレステージ・リミテッド」ではサスペンションのクロスメンバーに発泡ウレタンを注入したり、ダンパーのロッド径を太くするなどして剛性アップを達成しているようで、リベンジしているかもしれません。レガシイのライドコンフォートの低さはマニュアルミッションでカバーできるかもしれません。RX-8はオートマは4速になってしまうのです。
さあ、先輩は何を選択するのでしょうか・・・マイナーチェンジでアテンザのようにパネルの変更で内装の印象が好転しましたし、スカイラインではなくて、インフィニティG35だと割り切ればこれはかっこいいクーペだと思います。今、クーペに乗るというのはこの条件を生かすことかもしれません。